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めざそう未来の科学者!SSリーグ 筑波大学 次世代科学者育成プログラム 

〒305-8572 つくば市天王台1-1-1 筑波大学生物学類長室内 SSリーグ事務局

SSリーグでの指導

SSリーグとは?


「SSリーグ」(Super Science League スーパーサイエンスリーグ)は、科学に意欲があり「未来の科学者」を目指す児童・生徒の皆さんの個人研究を、大学教員と大学院生が個人的に研究指導・支援していくプログラムです。

書類選抜と書類選抜により選らばれた受講生に対し、研究テーマにあった筑波大学の教員1名と大学院生(大学生)1名が専属で配置され、おもにメーリングリストによって、個別にサポートしていきます。

SSリーグ生は様々な科学コンテストで高い評価を受けています。「高校生科学技術チャレンジJSEC2011 」ではSSリーグ生が文部科学大臣賞と科学技術振興機構賞を受賞し、アメリカで行われたISEF2012に日本代表として派遣されました。ISEF2012の様子はこちら

高校生科学技術チャレンジ JSEC2013」でもSSリーグ生が文部科学大臣賞を受賞し、ISEF2014に派遣され、動物科学部門での優等賞2等に入りました。こちら


【これまでの経緯】
平成20年度から3年間は、独立行政法人科学技術振興機構の委託事業「未来の科学者養成講座」に採択され、「めざそう未来の生物学者!BSリーグ」として生物系の研究をしている児童・生徒を対象として支援を行っていました。平成23年度からは物理学類、化学類、地球学類が加わり「めざそう未来の科学者!SSリーグ」として、支援の分野を広げました。平成26年度からは「筑波大学GFEST」SSコースとして自然科学全般を対象とし、支援を行うことになりました。
平成25年度の業務成果報告書はこちら

SSリーグの制度

「SSリーグ」(スーパーサイエンスリーグ)はSS1、SS2、SS3の3リーグ からなっています。まず、書類審査により20名程度の児童・生徒を選考し、SS3生として支援を開始します。年度末での「つくば科学研究コンテスト」(筑波大学で開催)でのポスター発表により、10名程度を選抜し、SS2リーグに昇格してもらいます。

SS2生には次の年度末の「つくば科学研究コンテスト」に口頭発表を行ってもらい、数名を選抜し、SS1リーグに昇格してもらいます。

SS1に昇格した生徒は、高校卒業までの期間、継続して指導・支援が提供されます。

残念ながら次リーグへの昇格できなかった児童・生徒の皆さんはSSリー グから離れることになりますが、再度SSリーグへ応募することは可能です。

SSリーグの研究指導・支援、学習指導

目標イメージ

SSリーグに選考された時点で、各児童・生徒一人ずつに、各参加者の興味にあった分野の筑波大学教員1名と筑波大学の大学院生1名がチューターとして配置され、継続的かつ実際的なきめ細やか研究指導・支援、学習指導が開始されます。

研究支援はメーリングリストを通して行います。
メーリングリストにはSSリーグ生、チューター教員、TA、サイエンスコミュニケーターの4人が含まれます。研究をしていて疑問に思った点などを、直接やりとりできます。また必要に応じて、大学にきていただいて直接アドバイスを受けることも可能です。

このようなチューター制により指導・支援の他に、SS3、SS2、SS1リーグそれぞれに、児童・生徒の皆さんに実際的で広い科学の視野を培ってもらうことを目的とし、菅平高原実験センター、遺伝子実験センター等で開講される実習等のカリキュラムが用意されています。

SSリーグの育成目標

■SS3 生の育成
書類選抜されたSS3 生に対して、筑波大学教員1名をチューター教員として、また大学院生1名をテ ィーチングアシスタントとして、個人個人にあった一対二できめ細やかな研究支援を行います。SS3 では「発想力、科学的な考察力、 行動力」を育成することを目的とします。

■SS2 生の育成
年度末の「つくば科学研究コンテスト」でのポスター発表により、約半数をSS2生とします。SS2においては「プログラムに参加することで得られる高度な知識や技術を活用し、個別研究の内容をさらに発展させる力」を育成することを目的とします。

■SS1 生の育成
年度末の「つくば科学研究コンテスト」での口頭発表により、数名をSS1生として選抜します。SS1では個別研究の成果を論文にまとめ、論文誌への投稿を推奨します。
これにより、科学者にとって必須で ある成果を論文としてまとめる力を養うとともに、査読を含む論文出版までの一連のプロセスを体験させています。またプロの研究者が集う場を舞台にして受講生自身の研究成果を発表させることで、研究について議論する場 を提供するとともに、受講生が研究者と交流する機会を与え、研究をまとめる力、コミュニケーション能力の育成を図っています。
SS1生については「高校生科学技術チャレンジ」等の全国レベルのコンテストへの挑戦を強く勧めています。ISEFへの派遣が決まった場合には、大学においての個別研修等も行います。

主な年間予定

3月 つくば科学研究コンテスト(昇格審査)
3月末 昇格決定
5月 新規生募集締め切り
 6-7月 新規生決定
チューター教員・TA決定
夏休み 菅平高原実験センターでのフィールド実習 くわしくはこちら
冬休み 筑波キャンパスでの実習およびつくば市内研究所のサイエンスツアー

SSリーグの特徴は?

筑波大学佐藤忍先生にSSリーグの特徴についてお聞きしました。

■テーマ設定から自分で行うことに意義がある
 SSリーグの一番の特徴は生徒の研究を教員と大学院生がサポートするというところです。大学側が用意した実験を大学で行うというのではなく、自分で研究テーマを考えて自分だけの研究を行うというプログラムは他大学ではあまり行われていません。
 大学で決めたテーマを大学でやってもらえば、きっとデータや結果は出やすいでしょう。でも私たちは「生徒自身の自主性」を何よりも大切にしたいと考えています。専門家から見れば「そんなことはもうわかっている」というような研究結果であっても、生徒さんにとって「初めて分かったこと」なら、それはとてもよい「研究」だということになります。これを突き詰めていくと、本当の発見につながるのです。
 未来の科学者にとって重要な資質の一つは、自分で疑問を見つけることです。身の回りにある不思議に気づき、考えていく力が重要です。例えば、小学校6年生なら小学校6年生の知識・情報の中で不思議だと思うことが身近にたくさんあるはずです。それを「どうしてなんだろう」と考えて解決してみたいと考える気持ちが大切だと思います。
 「難しい機械や装置を使ったかっこいい研究をしよう」と思うと、自分がついていけなくなります。自分でできる範囲で、自分で考えて実験を行うことが、大切なのです。
 以前SSリーグ通信のインタビューでお勧めの本として「ファーブル昆虫記」をあげました。ファーブルは1823年生まれであり、その時代には高度な実験手法や、電子的な実験器具なんてありませんでした。ファーブルは昆虫をじっくり観察・実験し続け、昆虫の生態を明らかにしていったのです。BSリーグ生の研究も高度な実験器具を使う必要はなく、身近な疑問を突き詰めていくということがいいのではないかと思います。

■実習で絆を強める
 SSリーグの特徴のもう一つは、夏に筑波大学菅平高原実験センターで行う「フィールド実習」と冬に筑波キャンパスで行う「実習&サイエンスツアー」です。SSリーグ生の皆さんの科学・理科が好きだという気持ちや科学・理科に関する知識には驚かされます。おそらく学校などでは同じレベルで科学・理科について語り合える仲間を見つけることは難しいのではないでしょうか?実習では同じように科学・理科が大好きな仲間に会うことができ、話が尽きないようです。実習中はもちろん、実習が終わってからもメールでのやり取りやお互いのフィールをを訪れるという交流が続いているようです。
 実習では、科学者である教員や科学者予備軍である大学院生とも、寝食を共にします。普段、科学者と接する機会のない生徒たちにとっては科学者に対する親しみがわくようです。

■両輪が大切
 SSリーグでは大学の施設を使った実験も行います。通常の学校では行わない・行えないような最先端の実験をすることはSSリーグ生にとって、視野を広げ、科学の先端研究の風に当たる貴重なチャンスになっています。このような経験をしていると、テレビや新聞に出てくる科学的な話が、「あっ、あの事か!」と、すっと理解できるようになります。
 ただし、このような実験だけではどうしても生徒の皆さんは「与ええられたものを消化する」だけになってしまいます。科学者になるためには与えられたものをスマートにこなすという能力も重要ですが、それだけではだめだと思います。他人は面白いと思っていないこと、気づいていないことの中から、自分で面白いと思うことを見出し、考えて、他の人にも「これって面白いでしょ!」と伝えていける能力も必要です。スマートにこなす能力と、自分で疑問を見つけ考える力の二つが科学者になるためには必要だと思います。
 自分で疑問を見つけて考えるというのは習慣だと思います。大学生の中には、与えられたものを消化するのは得意で、成績も優秀ですがオリジナリティに欠け、研究者には向いていないという人もいます。SSリーグ生の皆さんには、ぜひ、疑問を見つけて考え続ける「問題発見・解決型」の人になってほしいと思っています。

受講生の感想


「いま、多くの学生が研究をしていますが、それが盛んなのは都会だけだと思います。それも、研究をサポートしてくれる優秀な先生のいる学校など、恵まれた環境の学生が多いようです。
 しかし、私のように地方で、ほぼ個人の研究を行なっている学生も多いと思います。例えば、私の知り合いには、毎朝野鳥の個体数調査を行っている小学生や、自分で恐竜の化石を見つけた中学生がいます。けれども、通っている学校は、理系に力を入れていなかったり、科学部は毎日遊んでいたりします。私たちは学術的な研究をするのが難しいです。
 ですので、私達のように恵まれいない環境でこつこつと努力をしている人にとって、筑波のSSリーグは神様のような存在です。地方に住んでいがらも、最先端の研究に触れることが出来たり、大学の先生や学生に研究のいアドバイスをいただくことが出来るからです。」(中3女子)

「SSリーグでは「問題発見・解決型」が基本となっている。自分自身で疑問を見つけ、それを解明するための方法を考え実行する。地道な研究作業の過程では辛い時期や思うように進まない苦しい時期もあった。何度も繰り返される教授方との熱いディスカッションの中から自分で答えを探す。このような環境で研究を進めてきたことで、解決方法を見出す力、洞察力、そして忍耐力を高めることが出来たと感じている。  
 また、常にレベルアップを求めるご指導のもと発表までに資料を何度も書き直し、自らの考えを伝え、表現の難しさも学んだ。そして、BSリーグの他、動物学会等数々の発表する場を与えて頂いたことは幅広い年齢層の科学者達と交流する機会となった。それは、多くの謎を秘めた生物学に対する興味、研究に対する更なる意欲が自然に沸き上がってくる事を実感する楽しく貴重な経験であったと思う。」(高1女子)

「僕がSSリーグ生になってからあっという間に2年半が経ちました。時には大学施設へ泊まり込み、通常の高校生活では得られない高度な実験を学んだり、夜明けまで自分達の研究について議論しあったりして、たくさんの「仲間」にも出会うことができました。それは僕にとって貴重な時間であり、僕を大きく育ててくれたと思います。
 以前僕は、それはいい!と思ったらすぐに行動に移し、それが失敗への直接の原因にもなっていました。でも今はまず物事の全体像をきちんと見て、深く考えてから行動をとることができるようになりました。実験を行う上での考え方が僕の行動にも大きく反映された結果だと思っています。一人一研究という、SSリーグのシステムのおかげです。 またリーグ内のいろいろな行事を通して、興味ある生物についてさらに深く知ることもでき、大学の先生に直接指導を受ける事もできたので、僕にとってはいい思い出しかありません。SSリーグに参加して本当によかったと思います。これからも頑張っていきたいと思っています。」(高1男子)

「この経験から得たものは、生物研究のための実験技術と論理的思考能力、そして興味を同じくする友人との絆です。筑波大学の先生と大学院生のチューターの方にご指導を頂きながら、3年間を通じて研究を続けてきました。
 学校の試験のように与えられた問題を教えられたとおりに解く「受け身の学習」ではなく、テーマを決め、仮説をたて、実験を行い、考察をまとめるという一連の過程に主体的に取り組める点が個人研究の最大の魅力です。自分の興味をとことん追求する楽しさ、筋道を立てて研究を進める面白さを知りました。各年度数回行われた合宿形式の実習はとても楽しかったです。大学の設備を使用させて頂き、分子生物学などの高校ではできない分野の実験が自分の興味の幅を広げてくれました。また、合宿の宿泊施設で友人たちと朝まで生物談義を語り明かしたことは忘れられない思い出です。」(高1男子)

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SSリーグに関する質問・
お問合せはこちらまで

筑波大学SSリーグ事務局
〒305-8572
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筑波大学生物学類長室内
TEL:029(853)4553
bsl@biol.tsukuba.ac.jp

科学者への道

科学者は子供のころどんな子供だったの?なにがきっかけで科学者になったの?科学者になるまでの道のりを先生たちに聞いてみましょう!

第九回 濱 健夫先生
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